PDFを利用したオンライン校正
PDFを利用した校正の便利な点と不便な点

Acrobat 4以降では、PDF文書の上に注釈として文章や図形を書き加えたり、ファイルを添付することができます。紙に校正する代わりに、PDF文書に校正するという感覚です。

PDFによる校正の便利な点

紙ベースの校正と比べると

  • 校正時間を短縮できる
    たとえば、東京のA社が制作した原稿を、大阪のB社の人が校正するとします。ページ数の少ない文書ならFAXでのやり取りも可能ですが、ボリュームのあるマニュアルなどは宅配便になり、やり取りだけで最低3日はかかってしまいます。PDFベースでは電子メールで送受信して即座に校正できます。
  • コストを削減できる
    原稿のコピーや宅配の代金、これらの作業に掛かる人件費を削減できます。最初にAcrobatの購入代金が掛かりますが、数百ページ単位の原稿の校正が1、2回あれば、元は取れます。
  • 校正ミスが少なくなる
    PDF上に書き込まれた文章を元原稿にコピー&ペーストしたり、添付ファイルを利用することで、文字を一から入力し直す手間が省け、入力間違いもなくなります。また、校正の文字が悪筆で読めない、読み間違うということがなくなります。

原稿の元データ(DTPアプリケーションのデータなど)を直接やりとりして校正する場合と比べると

  • データが軽い
    DTPのデータよりもPDFにした方がファイルサイズを小さくできます。
  • 校正側の環境を選ばない
    校正側に元データを制作したアプリケーションやフォントがなくても、原稿を見ることができます。
  • 校正者が元データを勝手に変更することがない
    元データをそのまま校正に回したら、校正者が勝手に書き換えて訳が分からなくなったというようなことがよくありますが、PDFなら元データには手を付けられないので、余計なトラブルが減ります。

PDFによる校正の不便な点

  • 校正全体を見渡しにくい
    PDFというより現在のオンラインドキュメント全般に言えることですが、紙ベースのように、同時に何ページもの校正を参照しながら作業するのが困難です。
  • 校正と元原稿を同時に見にくい
    (テキスト)ツールで直接書き込む場合以外は、原稿に注釈のマークが入るだけで、別にノートウインドウを開かないと内容が表示されません。注釈のみを一覧表示したり、別ファイルに保存することはできますが、原稿と校正を同時に表示・印刷できないのが不便です。(校正のみを脚注として印刷するような機能があると良いのですが)
  • 注釈の検索・置換ができない
    注釈中の用語を途中で変更したい場合など、注釈を全文検索・置換できないのが不便です。

しかし、最大の問題は、実は

  • 制作側にとっては具体的なメリットがよく分かるが、校正側のメリットがあまり目に見えない

という点にあるのではないでしょうか。

特に、制作会社が注文主に校正を依頼する場合、制作会社が宅配便の時間だけ制作スケジュールをやりくりし、コピー代や宅配便代を負担し、校正文章を一から入力し直し、悪筆を苦労して判読し、勝手にいじられたデータを元に戻していると、校正側にとっては、紙ベースでもオンライン校正でも、あまり違いがありません。Acrobatを購入して操作を覚えなければならない分、負担に感じるかもしれません。

実際は、制作会社で掛かった経費は制作費に乗せられることになり、最終的には注文主に返って来る訳ですが、それが目に見えにくいのが難点です。同じ会社内での校正の場合などの方が、導入がスムーズでしょう。