クロスプラットフォームのヘルプ制作について

WindowsとMacintoshの両方で動くヘルプ、クロスプラットフォームのヘルプ作りは、制作者の悩みの種です。

Windows98からHTML Helpが登場し、HTMLなのだからクロスプラットフォームで当然と期待されるのですが、今のところコンパイルしたHTML HelpはMacintoshでは表示できません。

では、どうしているのか?

現在、主に使われている手段とその問題点をまとめてみました。

WindowsのヘルプをMacintoshのヘルプに変換する

まず最初にWindowsのヘルプ(WinHelp)を制作し、これをMacintoshで表示できるヘルプに変えます。以前はQuickHelpが主流だったのですが、現在はどのツールも下火になっています。HTMLやXMLベースで最初からクロスプラットフォームを念頭においた製品が今後は増えてくるでしょう。

QuickHelp

Altura International (http://www.altura.com/)の製品です。
通常のWinHelpを、Macintoshで動作する独自のヘルプ(QuickHelp)に変換します。

  • 目次、キーワード、関連項目、二次ウインドウなどWinHelpのほとんどの機能がそのまま変換されます。
  • QuickHelpでMacintosh用に変換したヘルプの表示には、専用のビューワが必要です。
  • Altura Internationalが業務をWebビジネスにシフトしたようで、QuickHelp関連の情報はここ2、3年更新されていません。新規購入も難しいようです。

Microsoft Help

Microsoftが自社商品のMacintosh版のために開発した方式です。WinHelpのプロジェクトをMacintosh用にコンパイルし、専用のMicrosoft Helpビューワで表示します。

  • WinHelpの目次、キーワードは表示できますが、関連項目、二次ウインドウなどはサポートしていません。
  • Microsoft Officeなど、Microsoftの製品で主に採用されています。

Apple Help

Apple Helpは、MacintoshのOS 8.6以降で標準のヘルプシステムです。HTMLファイルをベースにしています。WinHelpを直接Apple Helpに変換することはできませんが、RoboHelpなどでWinHelpをHTMLファイルに変換すると、Apple Helpのトピックとして利用できます。

Apple Guide

Apple Guideは、MacintoshのSystem 7.0〜OS 8.5までの標準のヘルプシステムです。

  • Apple GuideはOS Xでは動作しません。このため、新規にヘルプを制作する場合は、他の方法を採用する方が良いでしょう。

さて、以上のようなWinHelpをMacintoshのヘルプに変換する方法では両方のプラットフォームのヘルプソースが別になり、一元管理できません。Windows用のヘルプとMacintosh用のヘルプを同じファイルにするのに手軽な方法としては、HTMLを使用するかPDFを使用するかということになってきます。

(一覧に戻る)

HTMLを使用する

スタンダードなHTML文書ならクロスプラットフォームで表示できます。

ただし、HTMLだけでは、ナビゲーション機能が弱く、HTML Helpのような目次、検索機能を簡単に付けることができません。

このため、目次、キーワードをずらりと並べ、クリックすると目的のページに飛ぶようにしたヘルプをよく見かけます。
まったく目次、検索機能がないものに比べれば使い勝手は良くなりますが、操作性、速度ともWinHelpよりも見劣りがします。ページ数の多いヘルプの場合、目的ページにたどり着くまでに要する時間が増え、ユーザのストレスも溜まります。また、制作サイドとしても目次、キーワードの制作に時間がかかり、メンテナンスも大変です。

そこで、JavaアプレットやDHTMLなどを利用して、HTML Helpライクなツリーの目次、キーワード検索などを実現する技術が出てきました。代表的なところでは、以下のようなものがあります。いずれも通常のブラウザで表示でき、WindowsとMacintoshの両方をサポートしています。ただし、通常のHTMLよりは動作が遅くなるなど、問題点も残ります。

WebHelp

  • ヘルプオーサリングツールRoboHelpが開発した技術で、RoboHelpで作成します。JavaアプレットやDHTMLを使い、[目次][キーワード][検索]タブを付けることができます。Windowsヘルプ用のデータをそのままWebHelp化できるのが便利です。
    開発元:Adobe Adobe http://www.adobe.com/jp/

Author-it

  • こちらもヘルプオーサリングですが、Webベースの汎用的なオンラインヘルプを作成できます。
    開発元: Author-it Software Corporation http://www.author-it.com/

(一覧に戻る)

PDFを使用する

クロスプラットフォームで表示できる文書を作成する手っ取り早い手段としてAcrobatのPDFに変換する方法があります。

MacintoshとWindowsの両方で表示できますし、しおりを利用してスタンダードなHTMLレベルの目次、キーワードを付けることができます。標準機能の文字列検索に加えて、サードパーティからPDF全文検索システムも発売されています。

しかし、画面表示の見やすさ、表示速度の点で、常用のオンラインヘルプとして使用するにはちょっと無理があります。

また、PDFを使用した場合は、状況依存ヘルプ機能によってアプリケーションからヘルプを呼び出すことができません。たとえば、ダイアログに[ヘルプ]ボタンを付け、クリックすると対応するヘルプを呼び出すことは不可能です。

この点から見ても、アプリケーションのメインのヘルプとしてPDFを使用するのは現時点では難しいでしょう。

  • PDFとマニュアル、ヘルプの関係については、「ラプラス取説研究所」(http://www.laplace-lab.org/index.shtml)の「研究発表」で詳しく取り上げられています。

(一覧に戻る)

JavaHelpについて

JavaHelpは、Sun Microsystemsが提供するヘルプシステムです。100% Pure Javaで、Windows、Macintosh、UNIX、Linuxのいずれの環境でも動作します。このため、クロスプラットフォームのヘルプとして注目されています。

JavaHelpの本文はHTMLファイルで、HTML Helpと同じような目次、キーワードを付けることができ、全文検索も可能です。また、アプリケーションから呼び出すための状況依存ヘルプの機能も用意されています。

しかし、JavaHelpを直接作成するには難しい面があります。

市販のRoboHelpでもJavaHelpを作成でききますので、JavaHelpを作成する方法としては、これがもっとも容易な方法と思われます。

JavaHelpの利用例

市販のアプリケーションでJavaHelpを使用しているものには、ジャストシステムの「一太郎Ark for Java」や、Java向けのオフィススイート「Just Arks」中の「一太郎Ark」があります。(同じ「Just Arks」中でも、「PrezArk」と「CalcArk」のヘルプはJavaHelpではありません。)

また、同じJava向けのオフィススイートで、サンマイクロシステムズがリリースしたStarSuite Beta版のヘルプは、なぜかJavaHelpではないようです。

このあたりに、まだJavaHelpの危なっかしさを感じる気がします。

参考文献

日本語書籍には、以下のものがあります。

JavaHelp−効果的なヘルプメッセージの作り方
原書:Creating Effective JavaHelp
中田秀基 監訳 サイエンスリソーシズ 訳
2000年 オライリー・ジャパン
ISBN:4-87311-030-0 価格 2,800円

(一覧に戻る)

Max OS X、XP/Vistaのクロスプラットフォームのヘルプをシングルソースで作成するシステム

Apple Help、HTML Help、Webベースのヘルプなど、Mac OS X、Windows XP/Vista用のヘルプををシングルソースから生成するHelp Logicというソフトウェアがあります。

開発元: Electric Butterfly http://www.ebutterfly.com/

99ドルの商品ですが、以下のページからトライアル版をダウンロードできます。

Download HelpLogic for Mac and Windows, Download the Code Plugins SDK

(一覧に戻る)