アクセシビリティについて説明しているときに、「スクリーン・リーダーとは何ですか。」というご質問をいただくことがあります。また音声読み上げソフトにいは、スクリーン・リーダーと音声ブラウザがあるのですが、この違いについてもご存じない方が多くいらっしゃいます。そこで、スクリーン・リーダーと音声ブラウザについて、まとめてみました。
スクリーン・リーダーとは
スクリーン・リーダーは、パソコンの画面を音声で読み上げるソフトです。主に視覚障害者用に使用されています。文書の本文を読み上げるだけでなく、ファイルのオープンやクローズ、メニューやダイアログ項目、アプリケーションが表示するメッセージ、入力内容など、画面上のさまざまな情報を、合成音声で読み上げることができます。
ただし、スクリーン・リーダーがあれば全てのアプリケーションの操作を読み上げることができるわけではありません。スクリーン・リーダーが対応しているアプリケーションと対応していないアプリケーションがあります。また、読み上げることができても、実際に視覚に頼らずに使用することが難しいアプリケーションもあります。
また、スクリーン・リーダー以外にも、Webブラウザでの操作に特化した音声ブラウザがあります。スクリーン・リーダーはウェブ閲覧以外のOSや他のアプリケーションの操作全体に必要なのに対し、音声ブラウザはウェブ閲覧に特化しているため、スクリーン・リーダーと音声ブラウザを併用して使う人が多いです。その他の読み上げ支援ソフトと合わせて、音声読み上げソフトと呼ばれることもあります。
スクリーン・リーダーが具体的にどういうものであるかを知るには、実際に使用してみるのが早道でしょう。以下の「主なスクリーン・リーダー」の項目で紹介している製品の中には、体験版を入手可能なものもありますので、興味のある方は一度お試しください。
余談ですが、スクリーン・リーダーでの読み上げは、文書校正に役立ちます。誤字・脱字があると正しく読み上げられないので、聞いていてすぐにミスに気づき、結構重宝します。
- スクリーン・リーダーは、DOSの時代からいろいろ開発されてきました。Windowsが導入されるようになった当初は、GUIの音声化が困難で、かつ必要な技術や情報がWindows側に用意されていなかったため、視覚障害者がWindowsを使用できずに大問題となりました。個々のメーカーなどの努力でWindows版のスクリーン・リーダーも開発されるようになりましたが、スクリーン・リーダーなどの支援技術に対する標準的なWindows側の切り口が、やはり必要とされました。1997年になってようやくマイクロソフトでもMSAA(Microsoft
Active
Accessibility)というアクセシビリティのためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を発表し、現在はMSAA対応のスクリーン・リーダーも開発されています。
- Windows Vistaにはスクリーン・リーダーが内蔵されています。[アクセサリ]→[コンピュータの簡単操作]→[ナレータ]がそれです。ただ、残念なことに、現在は英語音声のみの対応です。
- Macintoshでは、 Mac OS X 10.4 (Tiger)からVoiceOverという音声読み上げ機能が標準搭載されていますが、残念ながらVoice
Overも英語音声のみの対応です。単にテキストを読み上げるだけであれば、クリエートシステム開発のドキュメント・トーカのような製品がありますが、画面上の操作全体を読み上げるスクリーン・リーダーではありません。Voice
Overの日本語読み上げが待たれます。また、Mac OS X
10.2で、AppleもアクセシビリティAPIを発表していますが、現在これに対応したスクリーン・リーダーは存在しません。
- Linuxでは、Linux版スクリーン・リーダーBRLTTY
Plusが開発途中ですが、現在はまだプロトタイプの段階のようです。
Linux版初の音声読み上げソフトが登場
- PDAの分野では、Macintoshと同じくクリエートシステム開発のドキュメントトーカ
for Pocket PC(Windows CE Pocket PC 2002, Pocket PC
2003対応)でやはりファイルを読み上げることができる他、DTalker Mobile Ver3.0
for Windows MobileというW-ZERO3のようなWindows Mobile 5.0 搭載機種で動作する視覚障害者用のソフトも出てきています。
(情報提供: YS for
PALMCITY氏)
W-ZERO3の小さなキーボードやその他のハードの具合で、視覚障害者の方々に使えるのかという声もありましたが、知り合いの全盲の方がW-ZERO3を試された感じでは、これは使えるという話でした。
また、技術評論社の「モバイルプレスEX Vol.3」の「”ドキュメントトーカモバイル”とW-ZERO3が生み出す”豊かさ”視覚障害者の暮らしを支えるモバイル」に、全盲の方の試用レポートが掲載されていますので、興味のある方はご一読ください。
(2008年5月6日補足)
他にもDTalker Mobile Ver3.0
for Windows Mobileのユーザーさんがいらっしゃいました。DTalker Mobileに限らず、スマートフォンのアクセシビリティも今後重要となってくると思います。)
主なWindows版のスクリーン・リーダー
現在、日本で市販されている主な製品には、以下のものがあります。よくスクリーン・リーダーのマーケットシェアはというご質問をお受けするのですが、確かな資料はありません。視覚障害サポートグループやコミュニティによって、誰かが最初に使い始めたスクリーン・リーダーが他の人にも普及するといった場合があるので、地域などによってシェアが異なる場合もあると思います。
これまでに色々聞いた中では、初心者のファーストインプレッションとしてはPC-Talkerが好まれ、ビジネスユースでは、XP Reader、JAWSが多機能で好まれるというお話もありました。機能の豊富さではJAWSが一番でしょうが、価格が高いのが難点です。この3製品は古くから販売されているもので、ユーザー数も多いのですが、最近発売開始されたFocus TalkやXPナボなども今後の動向が注目されます。
Winndows VistaにはPc-TalkerとFocus Talkが対応しています。両方のWindows Vista版の特長として、これまでスクリーン・リーダーでは読み上げられなかった、Windowsのログイン前の画面の読み上げが可能になったことがあります。これは本来はWindowsのナレータで実現する機能なのですが、それぞれのソフトが個別対応しているようです。
95Reader(XP Reader)
発売元:システムソリューションセンターとちぎ
JAWS for Windows Professional Version 8.0
発売元:エクストラ
JAWS
4.5までは日本アイ・ビー・エムが販売していましたが、6.2からはエクストラに国内販売元が変わりました。
PC-Talker/PC-Talker 2000/PC-Talker Vista
発売元:高知システム開発
以下のページからPC-Talker
XP/Vistaの体験版を郵送で取り寄せることができます。高知システム開発が開発されている、各種の音声読み上げソフト体験版パックもあります。
PC-Talker XP / PC-Talker Vista 体験版
Focus Talk
発売元:スカイフィッシュ
Focus Talk Ver 2.0はWindows XPとVistaの両方に対応しています。
以下のページからFocus
Talkの体験版をダウンロードできます。
FocusTalk -
ダウンロード一覧
XPナボ
発売元:ナレッジクリエーション
Catwalk
開発元:Kazusoft(シェアウェア)
少し開発者よりの文章説明で、操作に慣れが必要ですが、
64ビットWindowsで動作するバージョンの提供、2003 Server上での動作保証など、他のスクリーン・リーダーにはない特長があります。
New MM-Talker
開発元:
宮崎氏(シェアウェア)
Windows XP用のスクリーンリーダーです。
音声読み上げには、SAPI音声合成エンジンが別途必要です。
主なWindows版の音声ブラウザ
ホームページ・リーダー
発売元:日本アイ・ビー・エム
ボイス・サーフィン
発売元:アメディア
以下のページから体験版をダウンロードできます。
ボイスサーフィンVer3「無料体験版」のご案内
NetReader
発売元:高知システム開発
Flashなどの技術を使ったページでも、本文を読み上げやすいといった特長があります。
以下のページから体験版をダウンロードできます。
NetReader 体験版
New 「らくらくメール」「らくらくブラウザ」
発売元:富士通
メールとブラウザのセットです。メール本文やウェブページを音声合成で読み上げる点では音声ブラウザに入りますが、
受信メールやウェブページの漢字をひらがなに変換したり、
ソフトウェアキーボードを利用した文字入力、あるいはキーボードやマウス操作が困難な人のための「スイッチ」という支援機器に対応しており、視覚障害以外の障害の人にも使えるものです。
アクセシビリティ製品 らくらくメール・らくらくブラウザ: 富士通
関連情報
視覚障害者に利用可能と思われるWindowsソフウェア一覧
ホームページ・リーダー、PC-Taller、95
Reader、JAWSの機能比較です。PDFとFlashの音声読み上げについてなども記載されています。